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人生は夕方から楽しくなる。ン、ほんとかな?


by Go-in-Kyo-san
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姉弟旅行・凸凹珍道中

姉弟旅行・凸凹珍道中_f0203324_14202834.jpg

姉弟旅行は無事に終わった。姉にとって今回の旅行は、10数年続いたパーキンソン病の夫の看護生活、それに引き続く自身の心臓手術を含む数年の闘病生活、それらを経てようやくつかんだ自分の生活。失われた時間を取り戻し、残されたこれからの人生を楽しもうとする第一歩、羽ばたきの旅だった。

そしてその内容は、予想したとおりの凸凹珍道中。姉はどうやら方向音痴らしく、自信を持って別な方向にずんずん歩き始めてしまうのだ。せっかち、人の話を話半分しか聞かない早とちり、独りよがりなど、姉の性格が良く出た歩き方だった。姉独特の方向音痴。それが違った形で現れたのが、これからお話しするエピソード。

「国宝 阿修羅展」帰山記念 興福寺国宝特別公開2009 お堂でみる阿修羅。展示会場は仮金堂。中に入ると中央に本尊釈迦如来坐像、薬王・薬上菩薩立像、四天王立像、十大弟子、八部衆の像があり、前列中央に阿修羅像があった。姉はこの阿修羅像を見るなり、「あれはイミテーションのミニチュアだ。上野で見た阿修羅像はもっと大きく四天王像と同じくらい大きかった。これはミニチュアだ」と言い張るのだった。まさかミニチュアを展示するわけがあるはずもなく、会場の係りの人に聞いてみた。「これは本物ですか?」と。
係りの人は『なにをとんちんかんな事を聞くのか』とあきれたような顔をしながらも『これは本物です』と答えた。姉はまだ納得出来ず「これが上野に行ったのと同じものですか?」以下「姉」、『係り』。
『そうです。これが上野に行って帰ってきたそのものです』
「・・・・? だけど上野で見たときはもっと大きく見えた」(声が少し小さくなる)
『展示の仕方によって、見え方が変わることがあります』
(ちょっと元気になって)「そう、そう、上野の時の阿修羅様は台座の上に乗っていて、仰ぎ見る感じだった」
『そうですね、周りに何もなく、そんな角度で見ると大きく感じることがあるかもしれませんね』
「そうだ、そうだ。それで大きく見えたのだ。」
と言うことでその場は収まった。ところが宿に帰ってきたら、「あの時は、暑い日で日傘をさして2時間も待って入場し、阿修羅像の前は大勢の人だかり。大勢の人の頭越しに胸から上くらいしか見えなかった。立ち止まらないでください、と言う声にせかされてゆっくりみることが出来なかった。それで大きく見えたのかな?」とまた悩み始めた。

悩めるお姉ちゃんに助け舟を出すのが、弟の役目。『埼玉の田舎から出てきて2時間も待って、大勢の人の頭越しにチラッとしか見ることができないのじゃ可哀そうだからと、阿修羅様が気の毒がって、お姉ちゃんにだけ大きく見えるように変身したのだ』
「そうかもしれないね。なにか面白いことでもなければ、とっちゃんもブログの話題に困るものね。」と二人で大笑いをして「岐阜に帰ったら、この話をして皆で笑おうね」と、また大笑いしたのだった。

岐阜に帰ってきてからこの話をお義母さんと女房にして、また皆で大笑い。そこで、お姉ちゃんの守護佛は阿修羅様と言うことになった。おしゃべりが好きなお姉ちゃんの守護佛には、顔が三つある(口が三つある)阿修羅様が最もふさわしいということになった。

お姉ちゃんは「次は徳川美術館のお雛様展」と人参を顔の前にぶら下げて、元気に帰っていった。お姉ちゃん孝行も無事終わりました。ありがとうございました。
Commented by Wako at 2009-10-30 18:30 x
お帰りなさい、楽しい旅行で良かったですね。
お姉さまとの凸凹旅行(?)に乾杯です!
Commented by Go‐to‐Kyo at 2009-10-30 19:26 x
お姉さんの言っていることが正しいかもしれません。
東大寺の大仏も「イミテーションンのミニチュア」です。
盗難防止のためのやむを得ない措置です。知っていましたか?「知らぬが仏」ですが、、、、。
Commented by 隠居 at 2009-10-30 19:41 x
>Wako様
ありがとうございます。凸凹旅行を楽しみました。
Commented by 隠居 at 2009-10-30 19:46 x
>Go-to-Kyo様
東大寺の大仏が「イミテーションのミニチュア」とは知りませんでした。「ミニチュアでないフルサイズの本物」はどこにしまってあるのでしょう? 教えてください。
Commented by takarinn at 2009-10-30 22:43 x
同じ物でも、それを観る場所、観る人の状態によって、別物のように見えるということは、ある意味本当だと思います。
お姉様はそれを実感なさったのでしょう。それにあくまで拘っておられた様子が、微笑ましくもあり、「わかる、わかる」とうなずいてしまいました。
姉弟っていいですね。
Commented by 甥一号 at 2009-10-31 11:18 x
 大変お世話様で御座いました。ますます弓田のおばあちゃんに似てきたことが実感できるエピソードです。先日、家人が神田明神で購入してきた「将門煎餅」を食べながら、生前、弓田(茨城県岩井市)から持ってきた将門煎餅(平将門は、茨城県岩井出身)を「これはおいしいんだから」確信を持って見ず知らずの人にまで食べさせるおばあちゃんを思い出しておりました。
しかし、「自信を持って別な方向にずんずん歩き始めてしまうのだ」という下り、実は先日私もそれを自ら実行し、同行者にあきれられたのでした。これは遺伝であったか。
Commented by Go‐to‐Kyo at 2009-10-31 22:21 x
御隠居様さまへ。お答えいたします。東大寺の大仏様は伊勢の天岩戸に隠れています。天照大神が出られた後に来られました。このことを「神出来(帰)仏」と言います。
Commented by 隠居 at 2009-11-02 20:52 x
Go-to-Kyo様
色々教えていただき、ありがとうございます。天岩戸の中は結構広いんですね。大仏様もたまには足を伸ばして、寝転がりたいだろうし。天岩戸は天照大神が出てからしばらく空き家になっていたのですね。空き家に隠れているなんて、大仏様はヤドカリみたいですね。
Commented by takarinn at 2009-11-12 00:01 x
先日、コメントしたように、本日雨の中並んで、興福寺にて阿修羅像に逢って来ました。
そして、姉弟旅行の折のお姉さまのおっしゃっていたことは、「本当だ!」って思いました。本当に阿修羅君は小さいのです。これって本物?と思いたくなるのも分ります。
その理由の一つは、坐像とはいえ、釈迦如来像の前にあるからでしょう。ましてや上野では、この像が台座の上に強調的(?かどうかは、私は見ていませんから、なんともいえませんが)に展示されていたとしたら、別物のように感じても不思議ではありません。

まあ、とにかく博物館以外で、それも久々に、阿修羅様にお会いしてきました。あの正面のきりっとしたなかの涼やかな目元や左右のちょっと憂いを帯びた横顔は、いつまでも見飽きないのですが、列を動かないと後ろの方々のためと、歩を進めて出ました。
Commented by 隠居 at 2009-11-12 11:42 x
>Takarinn様
普通の人はこれって本物?と思うだけですが、私の姉は「イミテーションのミニチュアだ」と言い切ってしまうのです。そこが普通ではないのです。
by Go-in-Kyo-san | 2009-10-30 14:24 | 折にふれ | Comments(10)