人生は夕方から楽しくなる。ン、ほんとかな?


by Go-in-Kyo-san
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第12回策伝大賞

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今年の策伝大賞に輝いたのは大阪大学2年生「銀杏亭福豆」こと寿山安紀さん。2番手で登場したが、福豆さんの噺が終わった時点で「今年の策伝大賞はこの人以外にない」と確信した。

先ず、導入部が素晴らしかった。純朴で正直そして親孝行な百姓男を見事に演じていた。思わず身を乗り出して聞き入ってしまった。目頭さえ熱くなってきた。福豆さんはそれほど観客を自分の方に引き付けていたと思う。策伝大賞で初めて観客を引き付けた落語を聞きました。落語には単に笑わせるだけではなく、泣かせるという事も重要な要素であるという事を、福豆さんはわかっているのだと思う。

その後の展開も、テンポよく、そうかと言って大袈裟でなく、夫婦げんかの場面も百姓男は純朴さを失わず、女房は嫉妬に我を忘れた可愛い女だったし、仲裁に入った尼さんは村人の尊敬を集めているような落ち着いた尼さんだった。

私は第4回から策伝大賞を見ているが、福豆さんの松山鏡は歴代随一の端正で本格的な落語だったと思う。

特別賞を受賞した可愛家書ん坊さんの鮫講釈も良かった。まず、袴姿で着物の着こなし、姿かたちが良かった。様子がいいというのは、あのような姿を言うのだろう。

落ち着いた出だしから一転して、立て板に水の講釈。良くあれほどの長セリフをリズムよく、一度も噛まずに喋ったものだと感心した。色々な講談を混ぜこぜにしてよく覚えられたと思う。・・・槍を取ったら山本流の遣い手、清水の子分となった大政・・・。このくだりは子供の時、家に在った蓄音機で聞いた廣澤虎蔵の浪曲「荒神山の戦い」にあった。まさか平成27年の今、学生さんの落語の中で聞くとは思わなかった。

相変わらず絶叫したり、高座の上で身もだえして着物の前をはだけて下着を丸見えに見せたり、ホームベースに滑り込んで見せたりと大声とオーバー・アクションで無理に笑わせてやろうという落語が横行する中で、今回、福豆さんと書ん坊さんが大賞と特別賞を取ったのは意義深いものがあると思う。

絶叫したり、オーバー・アクションを好んでする人たちは「落語とはなんぞや」と言うところを誤解しているのだと思う。無理に笑わせようと努力すればするほど、観客に不愉快な思いをさせているという事に気が付かないのだろうか?仲間内で受ける笑いと大人が笑える笑いとでは、明らかに笑いの質が違うことを知ってほしい。
絶叫したり、オーバー・アクションで笑わせるのが落語だと思っては困るのだ。落語はそんなものじゃないのです。

ユーモアに富み、ちょいと洒落た会話ができ、時にはやんわりと本質を突いた皮肉を言い、それでいてそばにいると居心地がいい・・・。そんな上品な大人になりたかったら、良質の落語を聴けばいい。そして自分でも良質の落語を喋って、その様な品性を身につけることができる感性を磨いてください。学生のうちにそのような感性を身につけておけば、心に余裕をもって社会に出られると思います。



                           ―了―
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by Go-in-Kyo-san | 2015-02-23 15:13 | 落語in岐阜 | Comments(0)